目次
今日は昨日に引き続き、凝固剤について書いていこうと思います。
昨日は、動物由来の凝固剤、タンパク質系凝固剤であるゼラチンについて書きました。
凝固剤 ってどんなものか知ってます? 動物由来 編
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・凝固剤とは その2
凝固剤とは分子同士が網目状の構造を作り、液体をゼリー状に固める性質を持つもの。
というと難しいかもしれませんが、要するに液体をゼリー状にするものです。
凝固剤やゲル化剤と呼ばれています。
凝固剤には、大きく分けて2つのグループがあります。
- タンパク質系凝固剤(動物由来)
- 糖質系凝固剤(植物由来)
凝固剤は動物・植物由来に関わらず、熱い液体内では活発に動き回るが、液体の温度が下がってくると徐々に運動が不活発になり、同じ凝固剤同士で引き寄せあって細かい網目構造を作っていき、その隙間に液体を包み込んでゼリー状にしていきます。
ゼリーは固まってから時間が経つにつれて網目構造が収縮して水分を外に出してしまうことがあります。
これを離水といいます。
また、液体中の砂糖が多いほどゼリーは硬くなり、離水しにくくなります。
それぞれの凝固剤によって、いろいろな特徴がありますのでそれを説明していきます。
どういうときにどの凝固剤を使えばいいのかということも覚えていきましょう。
・糖質系凝固剤(植物由来)
植物系の凝固剤は消化されない糖質で出来ているため、それ自体にカロリーはありません。
その為、ダイエット食品の原料として使われたりしますが、ゼリーを作る以外での用途も多岐にわたっていて、生活には欠かせないものになっています。
では、紹介していきましょう。
・寒天
寒天は海藻のテングサ・オゴノリ等の紅藻類を原料に作られる凝固剤です。
テングサ・オゴノリを煮出し漉したものが固まるので、それを切り出したモノがところてんです。
ところてんを凍らせて乾燥させていきます。分かりやすく言えばフリーズドライしたものが寒天です。
寒天はガラクトースとその誘導体(一部の構造だけ変化した物質)で出来ていて、
融点は85~100℃で固まりだすのは38℃以下で常温で固まります。
固まった後は70℃以上で溶けます。
そのため、羊羹等の常温保存するものに使われ、口の中では溶けないため歯切れのよい硬さになります。
寒天で作ったゼリー液は白濁します。
だいたい液体の0.5~1.5%を添加します。(製品によって強度が違います)
また、寒天の効果が失われる条件としては、
酸にはかなり弱く、ph4.5以下で加熱すると糖質同士のつながりが切断されて固まらなくなるので、寒天を十分煮溶かして粗熱をとったベースに果汁を手早く混ぜましょう。
寒天は離水して、水が出やすいため重ねて2層にしようとするとくっつきません。
上の層を流す前に固めた下の層の表面に寒梅粉を刷毛で薄くつけたり、下の層が常温で固まってすぐに下の層より濃度の薄い液体を上の層に流したりします。
寒天で作ったゼリーは冷凍出来ません。
冷凍したものを解凍すると、離水してゼリーがシワシワになります。
食品として食べられる以外の用途としては、
菌検査等の寒天培地に利用されたり、歯科治療にも使われたりします。
・カラギーナン
カラギーナンは海藻のスギノリ・ツノマタ等の紅藻類を原料に作られる凝固剤です。
カラギーナンという呼び名はあまり一般には知られていませんが、欧米ではよく使われている植物由来凝固剤の一つです。
カラギーナンも寒天と同じ紅藻類を原料としていますが、寒天とは全く違う性質を持っています。
カラギーナンはガラクトースとそれぞれ違った性質の誘導体(一部の構造だけ変化した物質)で出来ていて、3種類のガラクトースで構成されています。
・κ(カッパ型)
カリウム、カルシウム、マグネシウム、等のミネラルや牛乳カゼイン等の タンパク質によりゲル化します。
・ι(イオタ型)
主にカルシウム、等のミネラルによりゲル化して、 粘弾性に優れ、離水が少なく、凍結後に解凍しても同じ状態に戻ります。
・λ(ラムダ型)
水に溶かしてもゲル化はしないが、強い粘性のある液体になります。 保水性が高い。
カラギーナンは製品によりそれぞれ調整されていますが融点は60~100℃で、
固まりだすのは30~40℃です。
固まった後は60℃以上で溶けます。
いろいろな製品が出ていますが、いずれもこの3種類のカラギーナンを組み合わせていろいろな性質の製品にしています。
カラギーナンは無色透明のゼリーを作ることが出来ます。
だいたい液体の0.5~1.5%を添加します。(製品によって強度が違います)
カラギーナンは寒天と比べるとかなり酸に強く、ph3.2の果汁まで効果が失われないため、
酸味のあるゼリーに向いています。
カラギーナンの大きな特徴としては、ゼラチンや寒天と違い、煮溶かして冷やして固めるだけでなく、カラギーナンを溶かした液体に牛乳等のミネラルを多く含む食品を混ぜることで急激にゲル化を起こす事が出来ます。
これを聞いて、あれ?子供のころに作ったことがあるアノ商品?と思う方もおられると思います。
そうです、アノ商品には含まれていると思います。
用途としては、
アイスクリーム、乳製品、デザート、ソース、飲料、等で増粘剤、増粘安定剤、ゲル化剤。
コンビーフ、パテ、等の肉製品を結着するためのゲル化剤。
ビールの濁りをとるための清澄剤。
歯磨き剤、シャンプー、化粧クリーム、等の安定剤。
芳香剤のゲル化剤。
泡消火器の泡の強化剤。
等と多岐にわたっています。
・ペクチン
ペクチンは主に柑橘類やリンゴ等を原料に作られる凝固剤です。
果実に砂糖を加え加熱するとトロミがついてくるのはこのペクチンの効果です。
元々、果実の細胞壁や細胞間質に存在していて細胞を保持するためのモノです。
ジャムを作る際は、
未熟だとまだペクチンがまだあまり存在していないので避け、
また、完熟で身が崩れてくるというのは果実中に出来ていたペクチンが分解されて少なくなってきた状態ですので、食べごろのものを使うようにします。
ペクチンはガラクトースの誘導体(一部の構造だけ変化した物質)で出来ていて、
固まるために大量の砂糖と強い酸が必要で、
ジャムを作るときは一般的に、
糖度が55~65%、ph2.9~3.4、ペクチンが1%以上必要になります。
ペクチンはいろいろな製品が出来ていて、大きく分けて2つに分かれます。
・HMペクチン(高メトキシルペクチン)
これは果物に含まれるペクチンと同様に固まるのに大量の砂糖と強い酸が必要なので、甘味と酸味の強いジャム、パートドフリュイ、等を作るのに向いています。
・LMペクチン(低メトキシルペクチン)
こちらは大量の砂糖と強い酸を必要とせず、カルシウムやマグネシウム、等のミネラルにより固まるので、糖度の低いジャム、上がけ用のナパージュ、等に使われます。
このLMペクチン、本来は80℃以上で10分程度加熱しないと効果を発揮しなかったのですが、最近は10℃程度で牛乳等と混ぜると溶けて効果を発揮する製品も作られています。
このペクチンは配合に入れすぎると、糊を食べているような食感になりますので注意しましょう。
HMペクチン / 30g TOMIZ/cuoca(富澤商店)
LMリンゴペクチン(LM) Unicook ヨーロッパ産 (1kg)
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