牛乳 ってどんなものか知ってます?

目次

牛乳 ってどんなもの?

 

お菓子作りに欠かせない牛乳をはじめとする乳製品ですが、皆さんはどのくらいのことをご存知でしょうか?

材料のことを知ると、お菓子作りは確実に上手になります。

今日は 牛乳 について書いていきます。

Photo credit: dominique cappronnier on Visual Hunt / CC BY-NC-ND

・牛乳とは

まず牛乳は牛の乳です。

この乳汁の成分を調整していない生乳牛乳です。

この生乳を安全に飲むために殺菌しているのが、スーパーなどに並んでいる所謂「牛乳」です。

成分を調整していない生乳が「牛乳」と法律で定義されています。

生乳が100%です。水や他の材料は加えられませんし、減らすこともできません。

脂肪分3.0%以上、無脂乳固形分8.0%以上含んでいることが条件です。

 

 

・特別牛乳

これは全国でも数か所しかない 特別牛乳さく取処理業 という許可を受けた施設で絞った生乳を処理した牛乳です。

乳脂肪分は3.3%以上、無脂乳固形分は8.5%以上で普通の牛乳よりも濃厚です。

ジャージー牛乳 低温殺菌牛乳 白木牧場の特別牛乳

・低脂肪牛乳

この「低脂肪牛乳」は簡単に言うと  「牛乳」ー「脂肪分」  です。

これは生乳100%ですが、そこから脂肪分を減らしたものです。

乳脂肪分は0.5%以上~1.5%以下で脂肪分以外の成分は牛乳とほとんど同じです。

大山乳業 白バラ 低脂肪牛乳 1L

・無脂肪牛乳

これは低脂肪牛乳よりもっと脂肪分を減らしたものです。

乳脂肪分は0.5%未満で脂肪分以外の成分は牛乳とほとんど同じです。

森永のおいしい無脂肪乳 【1000ml】

・成分調整牛乳

乳脂肪分、無脂乳固形分、水分などの成分の一部を除去したもので、

無脂乳固形分は牛乳と同じく8.0%以上あります。

北海道乳業 成分調整牛乳 北海道のめぐみ 1000ml

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ここまでは商品名に「牛乳」とつけることができます。

いずれも減らすことはあっても何かを加えることはしていませんね。

 

 

・加工乳

生乳にバターや脱脂粉乳など他の乳製品を添加して、成分を調整したもので、

加えてもよいのは乳製品と水に限られています。

みなさん、「低脂肪乳」という商品をスーパーでよく見かけませんか?

あれは加工乳です。

簡単に言うと、  「牛乳」+「脱脂粉乳」+「水」  です。

「牛乳」+「脂肪分を抜いた牛乳」  ですね。

分かるでしょうか、上で挙げた「低脂肪牛乳」との違いを。

低脂肪牛乳は生乳100%に対し、加工乳の「低脂肪乳」は生乳に脱脂粉乳と水を加えます。

ですから「牛乳」という商品名は名乗れず、「加工乳」となります。

いえばカサ増しなので牛乳より安く販売できるということになります。

また後日、生クリームやバターについて書こうと思いますが、それらを製造するときの副産物で脱脂粉乳が出来るので、その活用にもなりますし、安価で提供できるというメリットもあります。

低脂肪牛乳、または低脂肪乳を買われる際は「種類別名称」を確認すれば判別できます。

また、低脂肪乳の反対で  「牛乳」+「脱脂粉乳」  で乳成分を濃厚にしたタイプもあります。

 

・乳飲料

加工乳に加えて良いのが乳製品と水なのに対して、それ以外の材料も加えてよいというのが乳飲料です。

乳固形分が3.0%以上と定められています。

分かりやすい例でいうと、「コーヒー牛乳」「フルーツ牛乳」等(商品名で牛乳は使用できませんが)それです。

珈琲牛乳の素 900ml

ミルメーク コーヒー (顆粒) 学校給食用 8g/袋×40

大山乳業 白バラ フルーツ 1L

 

・殺菌や処理方法の違い

製品として生乳を安全に提供するために乳等省令により殺菌等が定められています。

 

・ホモジナイズ

均質化処理のことで、生乳をそのままにしていると脂肪分が上面に溜まり、それより下に脂肪分以外の成分、というように分離してしまう。

この分離を防ぐため、また製品間での品質のバラツキを抑える目的で行います。

具体的には、ホモジナイザー(均質機、乳化機)という機械で高圧をかけ、牛乳中の脂肪組織を2マイクロメーター(0.02mm以下)の大きさに破壊します。

ホモジナイズする前は上部の脂肪の濃い味と下部の薄い味の牛乳に分かれるため濃い味も感じやすいが、ホモジナイズを行い脂肪が全体に広がることで、確実に脂肪の香りやコクは変化し薄く感じるようになってしまう。

なので、メーカーによってはノンホモ(ホモジナイズしない)の製品をラインナップに加えているところもある。

 

・殺菌

窒素を使用して生乳に溶け込んでいる酸素を抑制(牛乳の酸化を防ぐことを)しながら加熱殺菌した製品が多いです。

殺菌にも種類があり、味や性質が変わるものもあります。

 

「低温保持殺菌」(LTLT法) Low Temperature Long Time pasteurization

低温殺菌牛乳で使用される63℃で30分間加熱殺菌する方法。

乳等省令に定められた殺菌方法で以下の殺菌方法もこの方法と同等以上の殺菌効果を有する方法を求められます。

この方法ではタンパク質が熱変性を起こさないため、風味がよいとされます

中沢ビン牛乳 無調整・低温殺菌牛乳 900ml

「高温短時間殺菌」(HTST法) High Temperature Short Time pasteurization

72℃から78℃で15秒間程度加熱殺菌する方法。

非耐熱性の菌は基本的に死滅するが、一部の耐熱性の菌は残存します。

それにより、消費期限は4~6日程度になります。

日本では農協系のローカルブランド牛乳や観光牧場で行われています。

イギリス、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ギリシャ、等では主流の殺菌法です。

 

「超高温瞬間殺菌」(UHT法、UP法) Ultra High Temperature heating method

120℃から135℃で1~3秒間加熱殺菌する方法。

耐熱性の菌もほとんど死滅します。

加熱殺菌時はほぼ無菌ですが、通常の充填方法では充填後の最近繁殖を完全には防げません。

そのため、賞味期限は10~14日程度になります。

手間と生産コスト的に一番販売しやすい方法で、日本の市販牛乳にはほとんどこの方法が採用されています。

 

「UHT滅菌法」Ultra High Temperature sterilization method

135℃から150℃で1~3秒間UHT法で殺菌し、気密性の高いアルミコーティング紙パックやプラスチック容器に無菌的に充填包装する方法。

この方法で生産された製品はロングライフ牛乳(LL牛乳)と呼ばれ未開封で3か月程度常温保存可能です。

フランス、スペイン、ポルトガル、では消費のほとんど、ドイツ、イタリア、スイスでも半数程度はこの方法が採用されています。

小岩井LL牛乳 200ml

            Photo credit: Alberto_VO5 on VisualHunt / CC BY-NC

・乳糖不耐症

牛乳を飲むとおなかが緩くなったり、ガス、腹部の膨満感、等の症状が出る方は乳糖不耐症で、

牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)の分解酵素であるラクターゼを持たないことによっておきます。

これは乳児期を過ぎて、または成人していくにつれて分解酵素の活性が低くなっていく例がほとんどだそうです。

牛乳を常飲することで酵素の活性が再び上昇していく例もあるとのこと。

この乳糖不耐症に該当するのは、アジア系で90%、黒人とアメリカ先住民で70%、ヒスパニック系で50%、北欧系では15%と民族で傾向があるようです。

 

また、胃腸症状だけでは乳糖不耐症とは確定できません。

これは、牛乳アレルギーの主な症状が胃腸症状と皮膚症状であるためです。

雪印メグミルク アカディ ESL 1L

 

・味の違い

牛乳はいろんな要因によって味の違いが生まれます。味の違いは個性ですし、どれが優れているというよりも自分の作りたいものによって牛乳も使い分けたりします。

・殺菌方法による違い

前項でも述べた通りでタンパク質の熱変性や栄養素の変化などで生じます。

 

・乳牛品種による違い

日本では白黒模様のホルスタイン種が99%を占めていますが、他にも(ャージー、ブラウンスイス、ガンジー、エアシャー)などの品種がいます。

 

ホルスタイン種

能力は全牛種中乳量が最も多く、産乳能力は年間7000-10000kgときわめて高い。乳質は比較的薄めで、乳脂肪率3.6%、無脂乳固形分8.7%で、カロチンをビタミンAに変えて乳汁中に出すので乳は黄色味が薄く、白いのが特徴。搾乳速度は極めて速く最盛期には3kg/分に達します。また、発育が早く、飼料効率もよく一日増体重は1.2kg程。

 

ジャージー種

淡い褐色でやや小型。乳量は年間約4000kg程度と少ないです。乳質は乳脂肪率が5.25%、無脂固形分率9%と高いのが特徴。脂肪球も大きいのでクリームが分離しやすくカロチン含量も高いため、黄色味がかっています。暑さには比較的強い。乳製品を大量に生産しているンマーク、ニュージーランド、等では最重要品種されています。

蒜山ジャージー牛乳 900ml

ブラウンスイス種

毛色は黒褐色から灰色がかった茶色で鼻と口のまわりが糊口(のりぐち)といって白くなっているのが特長で大型。アメリカで乳牛として改良された品種で、乳量は4800kg程度。乳質は乳脂肪率が4%程度ですが、乳蛋白などの無脂乳固形分が豊富なため、チーズやヨーグルト等の加工品に向いているため注目されています。

長野県 清水牧場チーズ工房 しぼりたてブラウンスイス牛乳 ノンホモジェナイズ 900cc 低温殺菌牛乳 【数量限定販売品】

ガンジー種

毛色は黄褐色の地に白斑(はくはん)があり、多くは額に星があります。体型はジャージー種に似ていますが、ひとまわり大型で、骨太で粗野な感があります。乳量は年間約4000kg程度。乳質はジャージー種と同様で乳脂肪率が5.25%無脂固形分率9%と高い。

栃木[南ヶ丘牧場のガーンジィゴールデンミルク]900ml

エアシャー種

毛色は白地に赤褐色の斑紋(はんもん)のものが多いのですが、黒色に近いチョコレート色の斑紋のものもいる中型。乳量は年間約4500kg程度乳脂肪率は約3.9%と平均的ですが、タンパク質の含量が約3.4%と高くチーズやヨーグルト等の加工品に向いています耐寒性に優れ、粗放な飼養管理にもよく耐えるため、高緯度の地域で比較的多く飼われています。

 

 

・餌による違い

 

粗飼料

粗繊維含量が高く、単位重量当たりの養分含量が少ない飼料のことで、牛乳にコクを出す成分となります。

稲ワラ、野草、ソルゴー、イタリアングラス、スーダングラス、イタリアンミレット、等があり、作物を青刈りし、サイロに詰めて乳酸発酵させることでサイレージという飼料を作ります。

発酵することで乳酸・酢酸が発生し、腐敗菌やカビ菌の繁殖を抑えることで長期の保管が可能になると同時に、発酵で出来た有機酸は牛にとって大事な栄養素であり食欲をそそる香りがすることで食欲を増進させます。

 

濃厚飼料

穀類が主で、単位重量当たりの養分含量が多い飼料のことで、乳量を増やしたり、牛乳に含まれるたんぱく質や乳糖、カルシウムなどのミネラルを高める役割を持っています。

トウモロコシ、大麦、ふすま、加熱大豆、大豆粕、米ぬか、綿実、等があります。

 

これの飼料を組み合わせることで、牛乳の味や色が変わります。

一般に青草を食べると黄緑色がかったり、飼料だけを食べると白っぽくなるとも言われています。

 

・季節による違い

極端にいうとこういう感じです。

ホルスタインは気温25℃を超えると体調調整しづらくなるため、夏バテのようになってしまいます。

餌を食べる量が減り、水を飲む量が増えることもあり、乳脂肪分が低めになります。

 

ホルスタインは寒さに強く、餌もたくさん食べ、寒さに負けないように脂肪をつけるので年間で一番乳脂肪分が高くなります。

 

夏と冬では乳脂肪分が約0.3%程度上下します。

そのため、牛乳の表示では「3.5%以上」のように誤差も考慮して表記しています。

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