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卵 ってどういうものなのでしょう?
皆さんも毎日のようにタマゴを使った料理やお菓子を口にされていると思います。
とてもポピュラーな食材の一つですが、日本は世界でみても卵の生産量、消費量、ともにトップクラスです。
歴史的に見ても安土桃山時代に南蛮菓子の渡来とともに卵と砂糖が多く使われるようになり、お菓子とは切っても切れない食材の一つとなっています。
前回はこれもお菓子とは切っては切れない食材の一つのバターをについて書きましたが、
バター ってどんなものか知ってます?
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今日は卵について書いていきたいと思います。
・卵とは
卵とは一般的にニワトリの卵(鶏卵)を指します。
「卵」や「玉子」等の表記がありますが、
本来の生物学的意味で「卵」、食材として「玉子」というように区別されるが、
現在では、生のものを「卵」、調理されたものを「玉子」という使い分けが多くなされるようになってきました。
・生産
2005年の世界の鶏卵の生産量は5943万4000トンで、全漁獲高9646万トンに次ぎ、他のどのような動物性タンパク質の生産量よりも多い。
生産はアジア州(60.2%)、ヨーロッパ州(16.7%)、北アメリカ州(13.9%)に偏っている。
なかでも、全生産量の41.0%を中国が占めています。
日本では2011年において10万トン以上が生産されている都道府県は生産量順に茨城県、千葉県、鹿児島県、広島県、岡山県、北海道、新潟県、愛知県、となっていて全国に分散しています。
・構造
卵の構造はこんな感じになっています。
では、各部ごとに見ていきましょう。
・卵殻部
卵の最外層を覆う、主に炭酸カルシウムから成る多孔質の殻で、外部から酸素を取り込み、胚の呼吸によって生じた二酸化炭素を放出します。
その外内両面に配置されるクチクラ層や卵殻膜を合わせ、400μm前後の厚さの層を形成します。
クチクラ層
厚さ10μm程度の、主にタンパク質から成る脆弱な層。簡単な洗浄や摩擦で失われます。
この層が失われると気孔が露出し微生物が卵内に侵入できるようになり、腐敗が始まります。
卵殻
有機物からなるスポンジ状の構造に無機質が沈着したもの。炭酸カルシウムを主成分とするが、最外層の部分ではマグネシウムやリン酸塩がやや増加し、卵殻強度を高めています。
卵殻膜
卵殻内部にある層で厚さ70μm程度の、脂質や糖質を若干含む、主にタンパク質からなる格子状に組まれた繊維により構成されています。
実はこの層は外層6層+内層3層の9層で出来ていて、保湿性に優れているため、古くから野戦(戦国時代頃から)での負傷や相撲で傷に貼り早期に治療するために用いられていたこともあり、現在これを基に医療品として活用するための研究が進められています。
・卵白部
卵白
卵黄を、抗菌作用を持つ卵白の中心に位置させることで、微生物による汚染から守っています。
外水様卵白と内水様卵白
卵殻赤道部と卵黄部周辺に存在する比較的流動性の高い卵白。それぞれ卵白の1/4程度を構成します。
濃厚卵白
比較的粘性の高い卵白。卵白全体の1/2を占めます。カラザと一体化し、卵黄を卵の中心に維持する役目も果たします。
カラザ層
卵黄膜の外面を覆う、タンパク質から成る網目状の繊維から成る層で、卵黄極部では繊維が並行に配向し、カラザと連続しています。
カラザ
卵黄の極部から引き出されたカラザ層の延長部分。末端は濃厚タンパク質と一体化しています。
卵黄はひも状の「カラザ」(卵帯)によって卵の中心に固定されている。カラザは日本語で「殻座」あるいは「殻鎖」と書かれることもあるが、実際はギリシア語由来の「chalaza」(霰<アラレ>)の音写であり、漢字での表記は当て字です。
生食で食べる時などでは食感があまり好きではないと取り出して食べる方もいらっしゃいますね。
成分的には他の卵白部とほぼ変わりはありません。
ケーキ屋さんで働いていて、まず取り除くことはありません。
・卵黄部
内部には通常の卵白にはないシアル酸が豊富に含まれていて、卵黄の中心付近には、直径5mm程度の「ラテブラ」と呼ばれる組織があります。「ラテブラ」はゆで卵にしても完全には固まりきらないという性質をもっています。
卵黄は肉眼では液状のように見えますが、顕微鏡等で拡大すると「卵黄球」という粒状の物体(卵黄1つに約180万個)が集まったもので、加熱した卵特有のわずかに粒立ったような舌触りやぽろぽろと崩れるのは、この卵黄球によるものです。
卵黄膜
外層・連続層・内層と3つの層で構成される層で、厚さ15μm。基本的に水分などを通さない不透膜。
パンデル核と胚盤
実際に雛として成長してゆく中心の部分で、パンデル核の中心に胚盤が位置します。
卵黄
50%の水分、30%の脂質、17%のタンパク質から構成されます。
脂質とタンパク質の複合体であるリポタンパク質が多い。
また必須アミノ酸が豊富で、胚盤成長時の栄養供給源となります。
卵黄はラテブラを中心に淡色卵黄と濃色卵黄が交互に層を成している。
・栄養
卵の栄養でもっとも特筆すべきはタンパク質で鶏卵1個に約6グラムのタンパク質を含みます。
またその質が大変よく、日常食において不足しがちな必須アミノ酸のうち、リジン、メチオニン、トリプトファンが多く、理想的なタンパク質といえます。
卵の脂肪はよく乳化されているので、消化吸収もよい。
ビタミンA、D、Eや、リン、鉄、カルシウムなどが含まれています。
卵黄中の脂質レシチンが血中コレステロール値を減らす働きをするため、血中コレステロール値は上昇しにくいです。
・鮮度
購入する場合のポイントとして、昔から殻(から)の表面がザラザラしたものが新しいといわれますが、これは輸送中に鶏卵どうしがこすれあうことの多かった時代のことです。
現在はパック入りのものが多くてこすれあったりしないため、殻の表面では、よく見分けがつきません。
回転の良いお店で買うようにしましょう。
あと、卵黄が2個ある卵を見た方もおられると思いますが、あれは産卵開始間もない若鶏の産んだ卵で、産卵開始直後で排卵のリズムが一定しない時期に複数の卵黄が連続して排卵されることによって起こる、ごく普通の生理現象です。
外見が普通の卵よりも細長く全体的に尖り、大きさや重さが飛び抜けているので慣れると見た目で分かります。
・業務用製品
ケーキ屋さん等の業務用で使う場合、もちろん生の卵そのものも使いますが、
食中毒の原因菌で3番目に多いサルモネラの感染原因食材(ケーキ屋の原因1位はカスタードクリーム)でもあるので、
衛生管理された工場で殺菌加工された、液卵(凍結全卵、凍結卵白、凍結卵黄)、粉末状(乾燥全卵、乾燥卵黄、乾燥卵白)等、冷凍または常温で保存可能な形にして安全に製品を作ろうとしてもいます。
バター ってどんなものか知ってます?
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