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生クリーム ってどういうものなのでしょう?
前回は牛乳についてお話ししました。
牛乳 ってどんなものか知ってます?
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今回は牛乳から作られているんだろうな~とはボンヤリ思われているであろうがよく理解していない方も多い生クリームです。
・生クリームとは
乳等省令では
「生乳、牛乳または特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去し、乳脂肪分を18.0%以上にしたもの」
と定義されています。
食品表示的には「クリーム(乳製品)」と表示されます。
原則として牛乳成分に由来する商品で脂肪とたんぱく質が濃縮したものです。
そのため、植物性脂肪等の乳以外の成分や安定剤、乳化剤、等が入っているものは、
「乳等を主要原料とする食品」(略して乳主原<にゅうしゅげん>とも言われます)
要するに、クリームの元は牛乳ということですね!
・製造方法
①精製していない乳を加熱殺菌した後、放置、冷却してクリームを上層に分離させる。
↓↓↓
②工業的には遠心分離機を用いて、クリーム分と乳脂肪以外の成分を分離させる。
という手順です。
乳脂肪以外の成分をどれだけクリーム中に残すかにより、脂肪分が違ういろいろな生クリームが出来ます。
この作業を行うことにより、生クリームと脱脂乳というふうに分かれます。
脱脂乳は乾燥させて脱脂粉乳(スキムミルク)にしたりします。
だいたい、牛乳の乳脂肪分が約4%として、生クリームを約40%とすると、
ざっくり生クリーム100gを作るのに1000g前後の牛乳が必要となってきます。
Photo by Masaaki Komori on Unsplash
・「乳等を主要原料とする食品」との違い
「生クリーム」と「乳等を主要原料とする食品」の差は原材料の違いと先ほども書きましたが、
「生クリーム」は牛乳由来のみ、
「乳等を主要原料とする食品」は植物性脂肪等の乳以外の成分や安定剤、乳化剤、等
が入っているものです。
乳化剤は水と油を繋ぐもので、乳製品の水分と植物油をくっつけるために入れられます。
安定剤はその状態を安定させて、再び水と油に分かれないようにするために入れられています。
「乳等を主要原料とする食品」に入る油脂は植物油で、コーン・綿実・大豆等の油を入れています。
どれだけ香料を入れたりしても口に入れて溶けた後の後味には植物油をそのまま舌の上に乗せたようなノッペリした油っこさが残ります
ですが、
「生クリーム」が善で本物!、「乳等を主要原料とする食品」は悪でニセモノ!
というわけではなく、使う用途によって使い分けることが大切です。
実際、ケーキ屋さんでも「生クリーム」だけではボソボソの状態になりやすいので、安定させる目的でいくらか「乳等を主要原料とする食品」のものを混ぜたりもします。
年々、改良が進んで「乳等を主要原料とする食品」でも少しずつ美味しくはなってきています。
生クリームの物性を補助(使いやすく)するためのものと考えればわかりやすいかと思います。
そのため、泡立てない用途では「乳等を主要原料とする食品」はほとんど使用しません。
例えば、シチュー等を考えてもらえばわかりやすいかと思いますが、牛乳と植物油を入れているのと同じだからです。
・脂肪分高低の差
お菓子作りをする際はだいたい乳脂肪分が30~50%の生クリームを使用します。
これ以下や以上の製品も少しあったりもするのですが、泡立てるものとしては使われることは少ないです。
30%前後以下だと普通に泡立てようとしてもかなり泡立ちにくいです(専用の特殊な機械を使用して強制的に泡立てたりします)。
乳脂肪分の違いで何が変わるのかというと、
乳脂肪分が低いと、
相対的に含まれる水分が増えるのでサラッとした軽い口当たりになり、
泡立てた状態でも柔らかいクリームになります。
乳脂肪分が高いと、
相対的に含まれる水分が減るのでしっかりと濃厚なコクがあって、
泡立てた状態ではしっかりとツノが立つ保形性の高いクリームになります。
使いやすい使い方としては、ムース等を仕込む際は低脂肪、絞ったりナッペ等のデコレーションする際は高脂肪、等が挙げられます。
ケーキ屋さんでは低脂肪で絞りもナッペもしますし、高脂肪でムースを仕込んだりもします。
それは製品全体のバランスを考えて使い分けています。
牛乳 ってどんなものか知ってます?
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