という疑問に答えます。
こんにちは!石川マサヨシです。
僕は今年でパティシエとして活動して27年目です。
その間にホテル、個人店、中規模の菓子製造企業、カフェ、フレンチレストラン、製菓学校講師、等の職場を経験してきました。
現在はフリーランスのパティシエとして活動をしています。
具体的な活動としては、企業様の顧問として商品開発や経営改善・技術指導・等をしたり、
店舗開発のお手伝いやセミナー、レシピ開発、youtube発信、等を行っています。
本記事の内容
◎意味的な違い
◎実務的な違い
◎考え方の違い
スポンサーリンク
目次
パティシエ と 料理人 の違いとは?
先日、フレンチ料理人のお友達と食事に行ったんですが、
やっぱり料理人とパティシエって全然違うよねー!って話になりました。
どういうところが違うのかってのを解説していきたいと思います。
意味的な違い
では、先ずは文字的な意味的な違いから見ていきましょう。
料理人とは
料理人は仏語で「キュイジニエ」といいます。
仏語で書くと、「cuisinier」と書きます。
cuisine は「料理」のことで、-ier は「人」 のことなので、
合わせて、「料理人」ってことです。
まあ、そのままですよね。
パティシエとは
それに対して、
パティシエは、「pâtissier」と書きます。
最後に「人」を意味する、-ier がついています。
じゃあ、pâtiss は、菓子なの?
って思いますよね。
いやいや、違うんです。
それについては、成り立ちの歴史からお話をしないといけません。
キリスト教のミサでは聖体拝領という儀式があって、
キリストの肉を表すパンと血を表す葡萄酒を体に受け入れる儀式なのですが、
中世のフランス、その儀式で使うパンや焼き菓子を作る職人である「オブロワイエ」が、
器やパイ生地などに肉や魚を詰めて焼く料理やパテ料理を作る仕事にも従事するようになり、
パスティ(挽肉などの詰め物料理)を作る者(パスティシエ)に分化して、
それがパティシエになったと言われています。
そういう歴史もあって、
今でもフランスのパティスリー(菓子店)ではお惣菜を売っているところが多くあるのだと思います。
そこから生地「pâte」(パート)を扱う職人として分化して、「pâtissier」になったということですね。
実務的な違い
次に、実際の仕事の違いを解説していきましょう。
料理人の実務
料理からデザートまでをトータルで行います。
料理はもちろんのこと、料理からの流れを考慮してのデザートも作ります。
デザートも、主に皿盛り等のオンタイムで提供するものに特化しています。
お皿の上に広げていくイメージです。
パティシエの実務
一方、パティシエの実務は、
料理は殆どしません。しませんというか出来ません。
レストランで忙しい時などはもちろんヘルプ程度はしますが、原則しないことが多いです。
調理に関しての技術はほぼ持っていないことが多いです。
調理の技術と製菓の技術は全くの別物です。
調理の技術をお菓子作りに取り込むことはあります。その技術は別として。
しかし、実際僕も家庭レベルでしょう。お金を頂けるレベルだとは思っていません。
では、パティシエは何が出来るのかというと、
粉、砂糖、卵、乳製品に特化して、その物性に関して特に深く掘り下げていきます。
もちろんフルーツやゲル化剤などへの造詣は必要ですが。
パティシエで圧倒的に多いのはパティスリーで勤務するパティシエです。
パティスリーのテイクアウトのケーキは、
大きさの決まった一つのケーキの中にギュッと要素を詰め込んでいきます。
テイクアウトならお客様の食べたい場所で食べるので、
そこまで違和感なく食べられるように考慮する時間のスパンは長くなります。
そのため保形性を必ず考慮に入れます。
ですので、パティスリーだけで働いていると、かっこよいデザートは作れません。
もちろんモノは作れるのですが、お皿の上に広げて展開するのが苦手になります。
大きいお皿にテイクアウト用のケーキだけが載っている、とか悲惨すぎます。
パティスリーの癖で小さくまとめてしまい、貧相になることが多いのです。
オンタイムで食べて頂くために食感もギリギリを攻めたりしなければなりません。
デザートが作れるようになるには別にレストランやカフェなどでの経験も必要になります。
なので、料理人には「”粉”しか知らないくせに!」とか冗談で言われたりします。
あながち間違ってはいないので「せやな」と返すのですが。
料理人もオタク気質の方は多いですが、パティシエはもっとオタク気質が強く映っているようです。
考え方の違い
すべてのものは一度、人間の頭の中で創造(知的創造)され、
その後、その設計図を基に実際に創造(物的創造)されます。
その最初の「こんなの作ろうかなあ~」と考えるところはパティシエも料理人も同じなのですが、
料理人の考え方 アプローチの仕方
料理人はレシピといっても数字で書き表わさない場合も多いです。
塩は「これくらい」とか、胡椒「こんな感じ」とか。
材料の状態を感覚で感じ取って、その個体差に合わせて感覚で味付けをしていきます。
パティシエの考え方 アプローチの仕方
一方パティシエは、実際に作り始める前の段階で、パティシエは先ずレシピを書き出します。
実際に作る生地や中に入れるガルニチュールやフィリングの配合のイメージを数字にして書き表します。
主役で食べさせたいモノの食感、合わせるモノとのバランスも考慮した上で、数字にするのです。
そして、実際にそのレシピで作ってみて、自分がイメージしたものとの乖離を修正して、2回目以降に自分のイメージへ近づけていく精度を上げていきます。
同じ配合でも、原材料のメーカーなどが違うだけでも味の出方のバランスは変わってしますので、そこから修正します。
だから、商品へのアプローチの仕方が真逆とさえ思えるくらいに違うのです。
まとめ
◎料理人とパティシエは似てるようでぜんぜん違う
◎製品へのアプローチの仕方はほぼ逆
違う角度から同じものを見ている人がいるというのはとてもいい刺激になります。
なので、僕はパティシエ仲間とより、業界が違う人達と一緒にいて刺激をもらうことが多いです。