パティシエになりたい人「学校を卒業したらお店に就職するつもりだけど、フリーランスって働き方も有るみたい…どんななんだろう…どんな仕事をするんだろう…教えてほしい」
「どうやったらなれるかも教えてほしい…」
という疑問に答えます。
こんにちは!石川マサヨシです。
僕は今年でパティシエとして活動して27年目です。
その間にホテル、個人店、中規模の菓子製造企業、カフェ、フレンチレストラン、製菓学校講師、等の職場を経験してきました。
現在はフリーのパティシエとして、企業様の顧問として商品開発や経営改善・技術指導・等をしたり、
店舗開発のお手伝いやセミナー等を行っています。
本記事の内容
◎僕がフリーランスのパティシエになったワケ
◎フリーランス パティシエのお仕事ってどんなの?
◎フリーランス パティシエにはどうやったらなれる?
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目次
僕が フリーランス パティシエ になったワケ
経緯
ココは退屈な話かもしれません。長いので飛ばしていただいて構いません。
僕は約十年前も約二年ほどフリーのパティシエとして製菓学校で講師をしていました。
この時期フリーでやっていたのは自分で選んでそうした訳ではなく、結果的にそうなっただけなのですが。
今回、僕が約半年前より「フリーランスパティシエ」として活動していくと決めたのは自分で「そうしよう!」と決め、活動を開始しました。
理由を一言で言うと、
自身の健康状態がきっかけです。
前職、「グラモウディーズ」でシェフパティシエとして働いていた2年前のちょうどこの時期、僕は救急車で運ばれました。
その数ヶ月前から、なんだか体調がおかしいと違和感があり、前年までの冬場でしたらそんなに感じなかった足の異常な冷えだったり、手足が異常にむくんだり、ずっと胃がムカムカしているような変な感じが続いていました。
繁忙期もホワイトデーで終わり、さすがに変な感じが続くのでお医者様に診てもらおうと内科を受診しました。
診断結果は「胃腸炎」だろうということでした。
胃腸薬?的なものを処方され、一週間ほどで飲みきったのですが違和感は改善できず…
違うお医者様で診てもらおうと伺うと、すぐに高血圧が原因だろうとの結論に至りました。
数値でいうと170/120くらい。
そこから降圧剤などのお薬を頂き服薬で治療を開始しました。
ですが、血圧が全然下がりません…
2週間毎にお薬を変えながら服薬していたのですがあまり改善されませんでした。
そうこうしている間に時々、胸を締め付けるような痛みがたびたび起こるようになりました。
最初は痛いけど耐えられるレベルだったのですが、日に日に痛みが強くなっていきます。
投薬治療を初めて一ヶ月経たないくらいで自宅で倒れ、救急車で運ばれました。
救急で担ぎ込まれた病院で一通り検査をして頂き、その場での異常は診られませんでした。
後日、その病院で精密検査をして頂き、冠攣縮性狭心症というものだと教えられました。
それからまた仕事をしながらの投薬治療を開始しました。
それから3ヶ月ほど経ち秋口、変わらずに投薬と仕事を続けていたのですがまだ血圧は下がりません。また胸痛が頻発するようになりました。
日に日に胸痛がひどくなり、職場でうずくまってしまうこともしばしば。
胸痛が頻発するようになってから2週間ほど経つと、仕事が出来る状態でないくらいになりました。
作業を連続できても30分くらい。少し休んで、また少し仕事して。
数日で全く作業が出来ない程になってしまい、社長に相談しました。休職を頂けませんかと。
社長は快く受けて下さり、一ヶ月単位で伸ばして構わない、しっかり治るまで長くなっても構わないと言って頂けました。
最低限の引き継ぎを部下や社内の同僚にし休職に入りました。
その秋からクリスマス、バレンタイン、ホワイトデー、など翌春までのメニューはもう決定していたので部下に生産だけを任せました。
そのタイミングでお医者様でお薬を変えて頂いて、血圧が下がる相性のいい薬を処方して頂きました。
それから4ヶ月はほぼベッドから起き上がれず寝たきりでした。
始めは動くとすぐに胸痛が来てしまう感じでしたが、
春先になってようやく少しづつ動けるようになり、少し歩けるようになりました。
始めは200m先に行って帰ってくるだけで症状が出てしまっていましたが、日々少しづつ歩いて少しづつ距離を伸ばし、夏には13km/日くらい歩けたりしました。
「このままいけたら復帰も大丈夫なんじゃないか」
と思えるくらいに改善しているように思えました。
しかし、秋口になり涼しくなってきた途端、胸痛がまた出るようになってしまいました。
もうこの状態ではこれから始まる繁忙期には間に合わない、と感じました。
休職を一年経過したタイミングで事情を会社に説明。
会社としては、ちゃんと治るまで休んでくれて構わない。とありがたい申し出をして頂きました。
が、今まで一年間休ませていただいた。そして、これから半年は確実に復帰できない。との結論が出たことで、
一度、区切りをつけようと思い、退社の旨を伝えました。
仕事をしていた当時から社長にはよく気にかけて頂き人間として大好きでしたので、面と向かって好きです社長、と言ってしまうくらいでした。
会社や社長には感謝しかありません。
なぜ フリーランス を選んだのか
さて、退社をしてからどうしようか…
と考え始めたのはそれからです。
休職期間中に外資系ホテル2社やいくつかの会社からシェフパティシエとして来ないか?というお話を頂いていましたが、
そもそも現場に立ててたなら休職もしてないよ…ということで全部お断りしていました。
最初は小さいお店をして、体調の良いときだけしようか…とか考えていたのですが…
かねてから取引をしていた会社の社長が近くに来られているということで、ご挨拶に伺い事情を説明しました。
すると、
「だったら、仕事頼んでもいいですか?」
という言葉をもらいました。
「あれ?」
と思いました。
「このやり方で出来ることは他のパティシエさんに比べて、僕には…たくさんあるかもしれない…」
たとえば、
前職では入社時には毎年数千万の赤字を垂れ流す、会社の中では誰もが匙を投げた言わば閑職でした。
キャリアの中で100人以上いる工場の責任者として運営をしていたこともあり、
誰も寄り付かない部署でしたので、誰にも相談せず社長にも承認を得ず、勝手に方向性を決め、ほぼ勝手、事後報告のみで商品を開発し販売していました。
シェフに就任して一年で黒字転換、その後は毎年4桁以上の利益を維持しました。
利益はしっかり上げていましたが、労働時間は短くしました。
クリスマス期間でも18時台には工場を閉めていました。
会社の中でのお荷物部門が一気に一番の稼ぎ頭になりました。
売上高総利益率がだいたい15~20%
スイーツ店では異常な高さです。
作ることに技術が高いパティシエでも経営が上手かというと違うスキルやセンスが必要になります。
それは自分で勉強しなければ身につきません。
そういうこともあったり、
コンテストの「アメ細工の綺麗さ+ケーキの美味しさ」を競う部門で最優秀賞を頂いた経験、だったり。
結構色んな経験をしてきたんだな…と。
近年、特に飲食業界は顕著ですがスイーツを扱っているお店でのパティシエの少なさは異常なくらいです。
まず、企業様が雇えない状況だったりします。
なりたい職業の常連なはずなのに…
どの時点からパティシエと呼ばれるようになるのかは不明(一年目で作れなくてもパティシエと呼んで良いのか)ですが、
シェフパティシエと見習いの子たちしかいないという職場は今とても多くて、
世の流れ的に労働時間に気をつけなければいけないので、
仕事は残っていたとしても見習いの子たちを定時で帰して、シェフだけが残って作業をしているお店もよく見かけます。
(シェフだとだいたい役職手当がついていますから残業関係ない…)
本当に離職率がハンパない…
これ、世のパティシエはちゃんと考えろよ!ってずっと考えていました。
「こういう現状を見て、パティシエになりたい人、業界で頑張り続けてくれる人なんておるか?」
と思っていました。
そういう業界の現状を目の当たりにしていたのと、僕の健康状態と持っているスキルを再考した結果、
業界にも何かしら貢献できるのではないかと、
「フリーランスのパティシエとして活動しよう!」と決めました。
フリーランス パティシエ のお仕事ってどんなの?
フリーランス パティシエ のお仕事の種類
大きく分けると、ざっくりこんな感じでしょうか。
- 製造者として現場の一員としてヘルプする
- 新規出店するお店、既存店のメニュー・商品のレシピ開発
- 自身が開発した商品を販売する
- お菓子教室を開く(素人さま向け)
- 製菓学校講師
- イベントやセミナー、講習会でのデモンストレーター(プロ、業界向け)
- 企業様の顧問として契約し、商品企画、商品開発、経営改善、製造環境改善、などの助言を行う
まだまだあると思いますが、分かりやすいものだけ挙げました。
製造者として現場の一員としてヘルプする
まさに現場の人数が少なく、現場で「手」として実際に働きます。
例えば、レストランで大人数の予約が入ったから、だとか
ケータリングのお手伝いなんかもそうですね。
あくまで、臨時のお手伝いです。
新規出店するお店や既存店 の メニュー・商品のレシピ開発
例えば、飲食業界への新規参入でノウハウが無い企業様だったり、飲食業界の企業様でも業態が変われば、販売するものも変わります。
そういうノウハウやレシピ等を提供します。
既存店においても、今とは違う切り口で商品を展開したいがノウハウがない、又は商品を開発できるスキルをもつ社員がいない場合、
などがあります。
自身が開発した商品を販売する
自身が開発した商品を販売します。
例えば、フリーマーケットなどで販売するのもそうですし、
大手商社様からコンビニスイーツのレシピ開発、OEM先の確保、などもあります。
規模は小さいものから全国規模までさまざまあります。
お菓子教室を開く
参加者を募って、自宅、又はレンタルキッチンなどでお菓子教室を行います。
結婚され、家事育児との両立をしながらされる女性の方は多いです。
製菓学校講師
製菓学校で教鞭を取ります。
製菓専門学校は校内で講師を確保しているところもありますが、外部からの講師を招くことで、より現場に近い授業を行い、質を高めたり活性化につなげます。
イベントやセミナー、講習会でのデモンストレーター(プロ、業界向け)
業界関係者、パティシエや原料メーカー等の方向けの講習会です。
日本のパティシエや世界からもパティシエを呼び、大人数の参加者で開催されることも多いです。
企業様の顧問として契約し、商品企画、商品開発、経営改善、製造環境改善、などの助言を行う
企業様からの依頼により助言する項目や内容は変わりますが、最終的には企業様の経営改善、利益増に繋がるようにどうすれば良いかという助言を行います。
内容的に長期での話になるので、回数を決めたり、月額、年額、などで契約したりします。
フリーランス パティシエにはどうやったらなれる?
フリーランス の パティシエ になるには名乗るだけです
フリーランス の パティシエになるのは簡単です。
名乗ればいいだけです。
依頼が有るかは別として…
僕がしたことは、ホームページを作った、名刺を作った、税務関係の手続きをした、それだけです。
なりたい方がおられましたら依頼をしたいと思えるようなパティシエになるということだと思います。
たぶん、人間力も必要なのではないかと思います。
僕が現在、やっている仕事は前項からですと、
- 製造者として現場の一員としてヘルプする
- お菓子教室を開く(素人さま向け)
以外はすべてやっています。
色々なことに臨機応変に対応できるようになることも大切な素養の一つです。
まとめ
◎自分のスキルを明確にし、人に教えられるものは何かを明確にする
◎フリーランスのパティシエはお仕事たくさんある
◎フリーランスは名乗るだけ
また、商売の仕方は前項で示しただけでなく、まだまだたくさん有ると思います。
それを見つけると商機に繋がるかも知れません。
そういうのを探すのも面白いと思います。