目次
卵 がお菓子に及ぼす影響とは何でしょうか
料理でもよく使うので、いろいろとご存知かと思いますが、しっかりと復習していきましょう。
今回は卵の特性です。
・卵の特性とは
・熱凝固性
卵黄と卵白とでは、熱で変性するタイミングが違います。
これを利用して、温泉卵も作られます。
卵黄の熱凝固性
卵黄は65℃で粘りだし、70℃で流動性を失い固まって、80℃で粉質化します。
卵白の熱凝固性
卵白は58℃から粘りが出始め、65℃から徐々に柔らかく固まり始め、透明感を失い完全に固まるのは80℃くらいです。
つまり、70℃程度の温度を保てば、温泉卵が出来るということです。
また、お菓子で卵の熱凝固性を分かりやすく利用したのがプリンです。
プリンは基本的に牛乳、砂糖、卵、です。
卵に熱を加えることで、プルプルの状態に固まっていきます。
砂糖の回でも書きましたが、
砂糖 って何から出来てるか知ってます?
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このときに砂糖を多く加えることで、卵が熱変性する温度を高く出来、焼き上がりが柔らかくなります。
・乳化性
卵黄の乳化性
卵黄の約64%は油脂で出来ています。
しかし、その1/4つまり約16%はレシチンと呼ばれる特殊な油脂で出来ています。
レシチンは一つの分子の中に親油基と親水基を持つことから水と油の両方を引き付けます。
通常では混ざらない、水と油を繋ぎ合わせて安定状態にすることを乳化といいますが、
卵黄はその乳化力が極めて強い食材とされています。
マヨネーズはいい例ですが、お菓子ではバターケーキ等が分かりやすいかと思います。
バターケーキはバターよりも卵が多く配合されるものもあります。
そんなものでも分離せず安定した状態を保てるのは卵の乳化力のおかげです。
また、乳化をすることで焼き上がりも柔らかくなり、目も細かく、綺麗に膨らみます。
「乳化とは」
本来、混ざりあわない水と油を繋ぎ合わせ、安定状態にすること、またはしたもの。
乳化にも2種類あり、水中油滴型と油中水滴型です。
水中油滴型
水の中に油滴が分散して安定的に存在すること。生クリーム、牛乳、等
油中水滴型
油の中に水滴が分散して安定的に存在すること。バター、等。
・起泡性
卵白の起泡性
卵白の中にあるタンパク質は、表面張力を弱くする作用を持っているので泡立ちやすく、泡立った気泡も空気に触れることでタンパク質が膜状に硬く変性してその状態を保とうとします。
この変性が進むと、水分を抱えきれなくなり離水して来るので、その手前を見極めて泡立てるのを止めます。
水様卵白が増えてくる(古くなる)とメレンゲを保形する力は弱まりますが泡立ちやすくなります。
ですので、ダックワーズやフィナンシェ(泡立てないが浮きが良くなる)、等によく使います。
一昔前までは卵白を数日間常温で放置してコシを抜くこともありましたが、衛生麺の問題もあり、卵白にキウイ等のタンパク質分解酵素を持ったフルーツ果汁を少量混ぜ込み置くことで、水様卵白になるのを促進したりしています。
また、うちのお店では殺菌冷凍卵白という商品も使用していて、これはコシが切れているので泡立ちやすいです。
卵白の起泡性を阻害するものとしては、油脂があります。液体油やバターがそれです。
卵黄にも油脂がありますが、卵黄中の油脂はレシチンで覆われた油滴状になっているので、直接卵白に触れにくいため、液体油やバターほどは阻害はされません。
卵白の起泡性を高めるものとしては、砂糖、レモン汁、クレーム・タータ、等があります。
砂糖はタンパク質の変性を抑制する作用があり、泡立ちにくくなりますが出来た気泡は細かくなり安定性が増します。
レモン汁とクレーム・タータ(酒石酸水素カリウム)は、アルカリ性の卵白を中性に近づけると気泡が安定するので、酸性のモノを足す目的で入れられることがあります。
また、夏場の水分の多い卵白であったり、マカロンを作ってしっかりしたメレンゲを作りたいとき、等には卵白を乾燥した乾燥卵白を足して立てることもあります。
全卵の起泡性
全卵を泡立てると卵白だけで泡立てるよりも泡立ちにくいですが、前項でも書いた通りレシチンのおかげで泡立てられます。
全卵は泡立てにくいため、表面張力を弱める目的で温度を35~40℃程度まで上げてから立てると泡立てやすくなります。
卵白だけとは違い、乳化力も働いているため柔らかい気泡になります。
卵 ってどんなものか知ってます?
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